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福井 (福井城の現状と新幹線建設) [北陸]

18日から19日にかけて、福井を訪問した。
この日の福井市内は、前週末に降った、今年一番の大雪によって、どこへ行っても
雪景色という、そんな「風情ある」状況。北陸地方を訪れるには、“らしい”情景を見ることが
できる、ちょうどいいタイミングだったかもしれない。

とはいえ、今回も仕事での訪問であり、かつ今回は、私の勤務先の社長に同行する、という
全く自由のきかない出張であったことから、いつものように市内を散策して回る、という時間は
非常に限られてしまった。

そんな中、街の中心部にあり、また、その日宿泊する予定のホテルから近い福井城跡には
2回ほど足を運ぶことができた。

この福井城、もともと徳川家康の次子結城秀康の時代、越前68万石に相応しい居城として
建てられた城で、当時は5重の堀と石垣、十基の櫓、43棟の城門、そして姫路城にも劣らぬ
偉容をもった雄大な天守閣を構える、北陸きっての大規模な城郭だったという。
ただ、残念ながら現在では、本丸の石垣とそれを囲む水掘がかろうじてその面影を残す
のみで、かつ、本丸内には福井県庁舎と福井県警本部が建てられていて、景観としては
非常に淋しく、全国にある有名な城郭の中でも、保存状態の悪い筆頭ではないかと思われる。
加えて、昭和23年に発生した大地震により崩壊。それを昭和58年度に修復した際にも
城郭の特異な工法を無視した修復がなされ、文化的価値が半減したという。
そんな中で、本丸西側にかかる御廊下橋復元事業が行われているが、これもいかにも
中途半端。見た目には、お城を復元した、というより、県警本部への入口を立派なものに
した、としか映らない。全国の城跡を訪ねるのが好きな私としては、県庁舎を移設の上、
謎の多い北の庄城跡の発掘調査と共に、もう少し当時の様子を再現するための思い切った
展開を期待したいものである。

(本丸北側の石垣。雪化粧した石垣が堀に写る)



(結城秀康公もすっかり雪化粧)

(堀の水はほとんど凍りついてた)

(福井地震の際に崩れかけたままの、天守台石垣)

(御廊下橋を復元中。背後の県警本部への入口にしか見えない)

(北陸銀行福井支店の前に中途半端に保存された石垣。この付近
の本格的な発掘調査に期待したい)

今回の出張では、地銀トップの方など、いろいろな方の話を聞く機会があった。そのみなさんに
共通していたのが、福井の現状に対する危機感。福井県は、男女とも平均寿命が全国2位、
とか、世帯あたりの自動車保有台数が全国1位とか、世帯あたりの貯蓄が全国3位、とか、
住みやすさが全国1位、といった、誇れる指標もないではないが、その一方で、毎年3~4千人
が学校を卒業しても、県内で就職するのが800人程度だったり、県民が県外で消費する比率が
全国トップクラスとか、先行きが不安になるような事実も多いとの事。
要は、県内にさしたる産業もなく、また県外から集客できるような魅力ある観光地や商業施設も
ないため、就職する際にも県外へ出て行くし、買い物は全国1位を誇る自家用車に乗って県外に
出かける、という構図だという。これには、あまり福井や北陸に縁のない私としては、「ふ~ん、
そうなんだ」とうなずくくらいしかないが。

そんな話をあちこちで聞いた後に福井駅に行くと、改めて、福井の将来は大丈夫なんだろうか、
と私までが心配になる。というのも、まだ国として事業化が正式決定していないにもかかわらず、
新幹線の線路や駅の建設が着々と進められているからだ。
私は詳しくないが、そうは言っても、福井というと、歴史的には京都をはじめ、近畿地方との結び
つきが強く、今も特急に乗れば、京都から1時間半、大阪から2時間で移動できる。そういう中で
巨額を投じて新幹線で東京都の間を結んでも、本当に地元にとってメリットはあるのだろうか。
しかも、新幹線が開通しても、東京~福井間は2時間40分もかかるという。更に、新幹線が開通
すれば、京都・大阪からの特急は本数が大きく減ることも考えられる。
新幹線よりまず先に、福井の産業振興、県外からの企業や大型商業施設の誘致、観光施設の
整備、などを計画的に進めない限り、仮に新幹線が開通しても、県民の県外への流出や、前述の
県外での消費促進、につながるだけではないかと思う。ちなみに、駅前では、市が中心となっての
西口再開発が進められているがというが、おそらく、官が主導しての、しかも地方の駅前の再開発
は成功は難しいであろう。今時、渋滞する駅前ではなく、休日に家族で車で行けるような、大規模
な駐車場も兼ね備えた郊外型の商業施設でないと成功しないのではないか。
鯖江へのイオンによるショッピンセンター進出には官民こぞって反対する、本来歴史的な価値は十分
にあるはずの福井城は無様な景観をさらしたまま、中途半端に橋だけを復元する、でも新幹線は
意地でも作る。こんな様子を見聞きしていると、将来更に衰退してしまうのでは、と“他人事”ながら
心配になってしまう。

そんなことを見て、感じた2日間だった。
海もあり山もあり、夏は泳げて、冬はスキーもできて、有名な温泉もあり、東尋坊や若狭湾といった
景勝地もあり、一乗谷や福井城、丸岡城、永平寺、明通寺などの旧跡もあり、越前がにや越前
おろしそばなどの美味しい食べ物もあり、そんな福井が、新幹線だけに固執せず、歴史と文化と
観光の街として、発展していくことを願って止まない。

(福井駅西口には、新幹線ホームがほぼ完成している)

(金沢方面への高架も着々と...)

(福井駅東口の駅前。なんと言っていいのか...)


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コメント 2

Morimo

確かに心配になる感じですね。
福井城を観光の目玉にすることもありだと思うのですが。
by Morimo (2008-02-23 21:34) 

keroro

雪だらけですねーー。
冬の北陸は好きです。
by keroro (2008-11-11 00:02) 

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